食中毒とその対策

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ノロウイルス食中毒

ノロウイルス」ってどんなウイルスですか?
 ノロウイルスは、冬場に流行する感染性胃腸炎の主因。下痢や腹痛、吐き気、発熱などの症状が出るため「お腹に来る風邪」ともいわれる。症状はふつう1〜2日でおさまるが、病弱な高齢者や子供は症状が重くなり、生命に関わることもある。ウイルスそのものに効く薬はなく、安静にして、水分補給で脱水に陥るのを防ぐなどの対症療法しかない。
 このウイルス自体は72年から知られていたが、「小型球形ウイルス(SRSV)」の総称で呼ばれることが多かった。それが、02年、国際学会で「ノロウイルス(”ノロ”は発見された地名に由来)」で統一することに決まった。一昨年には日本の食中毒統計でもこの名称区分が採用され、「有名」になったといえる。
より重要なのは、検査技術の進歩である。このウイルスは細胞培養が困難なため、電子顕微鏡で直接姿をとらえるしかなかった。しかし近年、遺伝子工学の発展によってウイルスの遺伝子配列が判明し、また微量の遺伝子を100万倍にも増幅する「PCR」という技術の普及で、検査が容易になった。その結果、これまで原因不明の食中毒とされていたものの多くが、ノロウイルスの仕業と分かってきたのである。
このウイルスは、SARS(重症急性呼吸器症候群)などと同じRNAウイルスの一種であり、容易に突然変異を起こす。そのため、長期的な免疫が獲得されにくく、流行を繰り返す。食中毒と感染症の二つの顔を持ったこのウイルスは、高齢者や免疫力の弱っている人にとってリスクが高い。また、より病原性の高いものが生じる可能性も否定できない。最近、新しい変異株が広がっているとの欧州からの報告もある。
ノロウイルスはどうやって感染するのですか?
 このウイルスの感染経路はほとんどが経口感染で、次のような感染様式があると考えられています。
(1) 汚染されていた貝類を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合 。
(2)

食品取扱者(食品の製造等に従事する者、飲食店における調理従事者、家庭で調理を行う者などが含まれます。)が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べた場合 。
(3)
患者のふん便や吐ぶつから二次感染した場合、また、家庭や共同生活施設などヒト同士の接触する機会が多いところでヒトからヒトへ直接感染するケースもあります。
 
どんな時期にノロウイルス食中毒は発生しやすいのですか?
 我が国における月別の発生状況をみると、一年を通して発生はみられますが11月くらいから発生件数は増加しはじめ、1〜2月が発生のピークになる傾向があります。
ノロウイルスに感染するとどんな症状になるのですか?
 潜伏期間(感染から発症までの時間)は24〜48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。通常、これら症状が1〜2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。
発症した場合の治療法はありますか?
 現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、通常、脱水症状がひどい場合に輸液を行うなどの対症療法が行われます。体力の弱い乳幼児、高齢者は水分と栄養の補給を充分に行い体力が消耗しないようにしましょう。
止しゃ薬(いわゆる下痢止め薬)は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましいでしょう。
生カキが食中毒の原因として多いと聞きましたが、本当ですか?
 このウイルスによる食中毒の原因食品として生カキ等の二枚貝あるいは、これらを使用した食品や献立にこれらを含む食事が大半を占めています。
カキなどの二枚貝は大量の海水を取り込み、プランクトンなどのエサを体内に残し、出水管から排水していますが、海水中のウイルスも同様のメカニズムで取り込まれ体内で濃縮されます。いろいろな二枚貝でこのようなウイルスの濃縮が起こっていると思われますが、われわれが二枚貝を生で食べるのは、主に冬場のカキに限られます。このため、冬季にこのウイルスによるカキの食中毒の発生が多いと考えられます。
カキ以外にどんな食品が原因となっていますか?
 カキ以外にもウチムラサキ貝(大アサリ)、シジミ、ハマグリ等の二枚貝が食中毒の原因食品となっています。
また、カキや二枚貝を含まない食品を原因とする食中毒も多く発生しています。これらは、感染した食品取扱者を介して食品が汚染されたことが原因と考えられます。


カンピロバクター食中毒

 鳥の腸にいる食中毒菌の一つ、カンピロバクターによる食中毒が急増しています。昨年は、「食中毒菌の代表」サルモネラ菌を抜き、細菌性食中毒の原因の第一位になりました。
一般家庭向けに売られている生鶏肉の4〜6割がカンピロバクターに汚染されているという報告があります。厚生労働省によると、昨年は全国で2642人が被害を受けました。大阪府立公衆衛生研究所によると、大阪府では今年7月1日現在、すでに昨年の8割を超す9件のカンピロバクター食中毒が起きています。この多くが鶏肉に関係してものと思われます。汚染した鶏肉を食べた人が全員発病するわけではありませんが、幼児や体の弱った人は発病、重症化しやすいようです。
菌は65度で一分加熱すると死にます。食中毒を起こした調理法を見ると、とり刺しや半生の湯引きが中心です。以外と多かったのがバーベキュでした。表面は食べ頃に見えても、中心が生のことがあり、肉汁がついた野菜を生焼けで食べるのも危険です。
生食を避け、よく手を洗い、肉と野菜の器具を使い分けるなど、台所衛生の基本を守ればほぼ100%防げます。(2004年8月19日、朝日)


サルモネラ食中毒

サルモネラ菌について
 サルモネラ菌による食中毒は、細菌性食中毒の中ではカンピロバクター、腸炎ブビリオおよび黄色ブドウ球菌に次いで多くみられる。また食中毒の原因となるサルモネラ菌は、原則として硫化水素を産出し、リジンを脱炭酸する特徴があげられる。
これらを腸内細菌として自然に保有する動物も他種類に上り、家畜や家禽をはじめ、イヌ、ネコ、カメなどのペットのほか、昆虫、ヘビ、トカゲ、ネズミなどがあげられる。鶏卵もこの菌に汚染されることがよくある。なお、感染源としては、感染動物を処理する屠畜場や鶏肉処理場で汚染されやすく、汚染された食肉が市販されて感染することもある。食肉取扱者の保菌率は、一般の人と比べて高いとされる。
その症状と治療法
 症状は、発熱、腹痛、下痢を主徴とするが、初期症状は悪心や嘔吐で始まる。腹痛と下痢の程度は多様であり、軽い腹痛と数回の軟便程度から激しい腹痛と一日三十〜四十回にも及ぶ水様便がみられる劇症まである。発熱は通常三十八〜三十九度Cで、悪寒を伴うこともある。予後は一般に良好で、三〜五日で自然治療に向かうことが多い。しかし、小児や老人などでは重症になることがあり、ときには死亡例もみられる。
治療としては、脱水症状と電解質障害に対する応急処置が重要で、菌血症を認めたときにはクロラムフェニコールを投与する。免疫は成立しないので、予防としては、食品製造と処理に対する衛生面の改善をはじめ、調理人の健康管理、手洗いの励行、生肉の摂取を避けるなどに頼るほかはない。


卵とサルモネラ菌

 サルモネラ菌は、飼料などと一緒に鳥の腸管に侵入します。鳥の腸管内のサルモネラ菌は当然、産道を通って産み落とされる卵の殻の表面を汚染することになります。
殻の表面に糞便が付着している場合はもちろん、付着していなくてもサルモネラ菌に汚染されていることがよくあります。卵殻には空気が入る程度の小さな穴が空いていますから、表面に付着したサルモネラ菌が、その穴を通って卵の中央に侵入します。
しかし、卵には自然に備わった酵素の働きによる殺菌力があるので、卵中の菌は簡単には繁殖できませんが、卵の鮮度が下がって殺菌力が減るにつれて、次第に増えていきます。
ですから、新鮮であれば、たとえサルモネラ菌が入っていても中毒を起こすことは考えられません。やはり、卵は生で食べるときは新しいものでなければなりません。



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